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那須在住のビデオ小僧のブログ

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映像は時間芸術だ!② カットの積み重ね

      2015/01/04

 

前回の続きです。前回⇒映像は時間芸術だ①

監督がカットのこだわりについて、話されるときに映画を例にした事がよくありました。
ちょっといろいろな映画を例に挙げてたのと、監督との会話で意識していたので
思い込んでいるのかもしれませんが、好きなシンドラーのリストで話を進めます。

浜ちゃん(私のこと)一つのカットの映像の意味を考えている?
カットひとつに当然意味がある。
カットがつながっていくことにより、ひとつのストーリーができあがるんだ。
そしてストーリーがつながって全体の物語になり、メッセージが伝わるんだ。
だから全体のメッセージ、物語り、ストーリー、カットと考えて
撮影、編集しなければならない。

と、このようなことをよく話されていた。

実際にはもう少し次のように断片的な言い方をされていました。

このカットは何!

皆さんご存知の「シンドラーのリスト」という映画があります。
この映画のオープニングに当時のナチがユダヤ人に対して
強制移住を始めるところから映画がはじまります。
強制移住のシーンはその当時の時代背景などの描写となっており
今さら説明するまでもないですが、これからこの時代の話が始まりますよ
というご挨拶ですね。
テーマとして、取り上げるのはこの次のカットからです。

映画が始まって、3分24秒からそのカットが始まります。


▲01窓からの日差しがある部屋に男、ウイスキーをグラスに注いでいる


▲02ベットにスーツとネクタイを並べている。たぶん先ほどの男


▲03カフスボタンを並べ、選んでいる。たぶん先ほどの男


▲04カフスボタンを付けている男


▲05ネクタイを締めている男


▲06上着を着る男


▲07胸にハンカチを入れる男


▲08タバコの吸いかけに、灰皿、紙幣、腕時計


▲09紙幣が足りないのか、引き出しから追加で取り出し数える


▲10ナチスカギ十字のデザインをされたネクタイピンをつける

この1~10までのカットの合計時間がほぼ60秒です。
この60秒のカットの連続でわかることは
「男がこれから出かける準備をしている」ことがわかります。
もう少し情報を拾い出すと

2~10より、ホワイトカラー(労働者階級でないこと)である。
01と08より、酒、タバコをたしなむ。
08と09より、金持ち。(ただし大富豪ではない。)どっちかと言うと成金一歩手前。
10より当時のドイツナチに関係がある。

この男がどこに出かけるのかと気になる。
そして、この時点で一番気になるのは、この男の顔。
そして誰だ?
ひょっとして主人公シンドラーか?
1分間に10個ものカットがあるのに
まだ男の顔が見えない。


▲レストランの入り口
11~12は1カットでつながっています。


▲レストランの入り口でレストランの支配人と耳打ちをする。


▲席に案内される男
13~15は1カットでつながっています。


▲席に案内されるとカメラは男ではなく支配人をフォーカスする。
1~14までで正直この男の顔が見たい気持ちが高まっているのに
カメラは男からレストラン支配人を追いかけ始めます。


▲14でカメラが支配人を追いかけたところで、
この男は誰であるかを知ることをあきらめた時、
支配人はテーブルを回って男の横を通り過ぎていきます。
当然、カメラは再び男の姿をとらえたところでフィックスします。
正直この映像を見た時、「おっ、、、、」と声を漏らしてしましました。


▲この後男はレストランにつどうドイツ軍人と、平たく言うと仲良くなり始めます。
結果レストラン全体で盛り上がっていきます。
16はその途中の一カットです。
この仲良くなり始めからレストラン全体が盛り上がるまで、5分の時間を要しています。
ちなみに写真では紹介していませんが、このレストランの支配人は
この男を「誰?」と近くのスタッフに聞いています。
支配人はこの男が誰か知らなかったのです。
ちょっとした伏線を張っているのです。
この後その伏線の理由がわかります。


▲この男がレストランを訪れて、店中でドイツ軍人たちとどんちゃん騒ぎになった時、
そこに見るからに階級の高そうなドイツ軍人がレディを伴って店に入ってきます。


▲その階級の高そうな軍人は、店の中のどんちゃん騒ぎに気づき、レストランの支配人に聞きます。
騒ぎの中心にいる男を指さし、
「あの男は?」と。


▲先ほどの伏線を思い出してください。男が店に入ってきたときは
支配人は男の事を全く知らなかったのに、
さも、よく知っているかのような口ぶりで話します。
顔つきは今はやりのまさしく“ドヤ顔”ですね。

「オスカー・シンドラー様です」

映画が始まって9分53秒、男が画面に出て6分19秒!
ここまできて初めて、主人公であるシンドラーが紹介されたのです。


▲二人が振り返ると同時にフォーカスが二人から
奥に立っているシンドラーに変わります。

まさしくスクリーンに映しだされる映像が“ドヤ顔”をしているようでした。

浜ちゃんこの約7分すごいよね!
シンドラーの紹介に7分もの時間をかけても見る人を飽させない。
ワクワクさせてくる。

わかる?

わかりますが、私にはとてもとても、、、
(今でもむりでしょうね。)

ちなみに7分というのは後1分くらい足せば、サザエさんの1話分の時間です。
つまり、一つのストーリーが完結することができる時間を
主人公の紹介にそれだけに使ってしまっても
飽きさせることなく、映像が作られていることがすごいことなのです。

当然そうでなくては数時間もの映像を観客に見てもらい続けることは
不可能なことなのですが。

15秒のCMも
7分の映像も
10分の企業VPも
数時間の映画も

紹介した1~20までのシーンの中の数秒のカットの一つ一つのように
大切に撮影し編集する必要があると。

そのつながりが見ていただく人に、飽きさせない映像ができると。

昨日今日にかけて実は短時間の映像を編集しましたが、
どうでしょう。
(映画でもなんでもない情報映像ですが興味のある方はどうぞ⇒こちら

見せると監督に言われますね。

このカットは何!

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